小4

『ごんぎつね』全時間の発問と学習プリント

※Word文書をプレビューで表示している場合、表記にズレが生じる可能性があります。
データをダウンロードした際には正しく表記されます。

『ごんぎつね』の授業では、ごんと兵十の心情の変化を追うことが大きなテーマとなります。本資料では、全時間の学習の流れや授業のポイントをまとめ、併せて使用した学習プリント(Word形式)を添付しています。また、プリントはB5の縦で作ってあるのでノートに貼ることもできます。ご自身の学級や実態に合わせて、自由に編集・活用ください。


  1. 授業の流れ
    1. 第1時:物語全体の読解と感情への気付き
      1. ① 言葉の意味調べ
      2. ② 物語を読む
      3. ③ 物語の感想を書く
    2. 第2時:第1場面 ~ごんのいたずらと感情~
      1. ① 第1場面を読む
      2. ② 登場人物の感情を考える(プリント活用)
        1. (1)いたずらをしているごんの感情
        2. (2)雨の中、あなの中にしゃがんでいるごんの感情
        3. (3)うなぎを うばわれた 兵十の感情
        4. (4)あなにもどってきたごんの感情
    3. 第3時:第2場面 ~後悔の芽生え~
      1. ① 第2場面を読む
      2. ② 登場人物の感情を考える(プリント活用)
        1. (1)六地蔵のかげにかくれているごんの感情
        2. (2)おっかあが死んでしまった兵十の感情
        3. (3)あなの中で考えているごんの感情
      3. ③プリント
        1. どうして、ごんは「いたずらをしなけりゃよかった。」と考えたのでしょうか。
    4. 第4時:第3場面 ~償いの始まり~
      1. ① 第3場面を読む
      2. ② 登場人物の感情を考える(プリント活用)
        1. (1)兵十のうちに、いわしを投げこんだごんの感情
        2. (2)兵十がいわし屋にぶんなぐられたとしったごんの感情
        3. (3)兵十のうちへ くりをとどけるごんの感情
    5. 第5時:第4・5場面 ~ごんの気持ちの変化~
      1. ① 第4・5場面を読む
      2. ② 登場人物の感情を考える(プリント活用)
        1. (1)加助と話をしている兵十の感情
        2. (2)兵十と加助が話しているのを聞いているごんの感情
        3. (3)加助が兵十に「神様がいろんな物をめぐんでくださるんだよ。」と言ったときのごんの感情
    6. 第6時:第6場面 ~ごんと兵十、それぞれの思い~
      1. ① 第6場面を読む
      2. ② 登場人物の感情を考える(プリント活用)
        1. (1)きつねがうちの中へ入ったのをみた兵十の感情
        2. (2)いつもくりをくれたのがごんだと気づいた兵十の感情
        3. (3)目をつぶったまま、うなずいたごんの感情
      3. ③プリント
  2. 補足:授業の工夫ポイント

授業の流れ

第1時:物語全体の読解と感情への気付き

① 言葉の意味調べ

1932年に発表された作品であり、現代ではあまり使われない表現や言葉が多く見られます。言葉の意味が分からなければ、登場人物の心情理解にもつながりません。
授業時間に余裕があれば、本文を読み進めながら意味を調べる活動を行います。時間がない場合は、意味一覧を記載したプリントを配布するだけでも効果的です。

② 物語を読む

教師の音読やCDの視聴を通じて、音読表現や語感に触れさせます。読み方が分からない漢字には、児童に下線を引かせておき、書き込みは後で行わせましょう。

<発問・対話例>

  • 教員:「みなさんの気持ち(感情)には、どんなものがありますか?」
  • 児童:「喜び・怒り・悲しみ・安心・不安・恐怖・驚き・後悔……」
  • 教員:「これから登場人物の気持ちを考えながら聞いてください。読み仮名は後で書くので、今は読めない漢字に線を引くだけでかまいません。」

③ 物語の感想を書く

感想文では、以下の3点を意識して書かせます。

  • ごんや兵十は、どんな場面でどんな感情になっていたか
  • 物語を読んで、自分はどんな気持ちになったか
  • わからなかったことや疑問に思ったこと

時間があれば、友達同士で感想を交流させ、他者の視点にも触れさせましょう。


第2時:第1場面 ~ごんのいたずらと感情~

① 第1場面を読む

  • 読みの難しい漢字を確認
  • 「おとの様」の存在から、物語の背景は江戸時代頃と推測されます
  • 「小ぎつね」は「子ぎつね」ではなく、いたずらが悪いことと分かっている年齢の狐
  • 季節は「秋」であることを確認
  • 「どっとましていました」など、擬態語・擬音語に着目(似た語:そっと、じっと など)

<プリント指導のポイント>
箇条書きでまとめる場合には、「畑へ入っていもをほりちらしたり」といった本文を、言い切りの文(例:「畑に入っていもをほりちらした」)に直して書けるようにしましょう。

また、「葉っぱがほくろのようにへばりついている」兵十の描写から、彼の貧しさや真剣な仕事ぶりを読み取らせます。

② 登場人物の感情を考える(プリント活用)

(1)いたずらをしているごんの感情

(予想される児童の考え)
寂しい:「ひとりぼっち」と書いてある。寂しくないなら「ひとりぼっち」ではなく「ひとりで暮らす」などの言葉ではないか。
楽しい:いたずらを何度もしているから。

(2)雨の中、あなの中にしゃがんでいるごんの感情

(予想される児童の考え)
不安:「ほっとしてあなからはい出ました」と書いてある。

(3)うなぎを うばわれた 兵十の感情

(予想される児童の考え)
怒り:「どなり立て」と書いてある。
悔しい:せっかくうなぎを取ったのに奪われたから

(4)あなにもどってきたごんの感情

(予想される児童の考え)
安心:「ごんはほっとして」と書いてある。

〇ごんがうなぎを食べず、外に置いたことから「空腹ではなく、いたずら目的であった」と判断できます。

第3時:第2場面 ~後悔の芽生え~

① 第2場面を読む

  • 「小さなこわれかけた家」などから、兵十の暮らしの苦しさを感じ取らせます
  • 昔の葬式の様子(お歯黒、かまどで膳を作る様子など)を補足します
  • 「そうしきだ」と判断した理由を考えさせる → 女たちの表情から推測?

② 登場人物の感情を考える(プリント活用)

(1)六地蔵のかげにかくれているごんの感情

(予想される児童の考え)
興味:「いつのまにか」と書いてある。とても集中して、何があったのか考えていたのでは。
   「のび上がって見ました。」と書いてある。見たい気持ちが表れている。

(2)おっかあが死んでしまった兵十の感情

(予想される児童の考え)
悲しみ:「今日はなんだかしおれています。」と書いてある。
後悔:おっかあにうなぎを食べさせてあげられなかった。
→おっかあがうなぎを食べたかったのか、食べたかったが食べられなかったのかは本文からは判断できないことを確認します。あくまでも、ごんの想像、推測です。

(3)あなの中で考えているごんの感情

(予想される児童の考え)
後悔:「あんないたずらをしなけりゃよかった。」と書いてある。

〇「あんないたずら」は、ごんが10日前に、兵十がつかまえたうなぎを盗んだことであることを確認します。

〇兵十は貧しいため、お金を出してうなぎを買うことはできなかったことを確認します。

③プリント

どうして、ごんは「いたずらをしなけりゃよかった。」と考えたのでしょうか。

(予想される児童の考え)
 ・兵十のおっかあが、うなぎを食べたいのに食べることができないまま死なせちゃってかわいそうなことをしたと考えた。
 ・兵十の最後の親孝行を台無しにしてしまった。

 たくさんのいたずらをしてきたごんがいたずらを後悔したことから、ごんは死について重く受け止めていることを確認します。もしかしたら、ごんも家族(母親)の死を経験しているのかもしれません。

第4時:第3場面 ~償いの始まり~

① 第3場面を読む

  • 難読漢字や表現を確認

② 登場人物の感情を考える(プリント活用)

(1)兵十のうちに、いわしを投げこんだごんの感情

(予想される児童の考え)
安心:「あなへ向かってかけもどりました。」と書いてある。ばれないように急いでいる。結局、ばれなかったから安心している。
喜び:「いいことをしたと思いました。」と書いてある。

(2)兵十がいわし屋にぶんなぐられたとしったごんの感情

(予想される児童の考え)
後悔:「しまったと思いました。」と書いてある。

(3)兵十のうちへ くりをとどけるごんの感情

兵十がぬすっとだと思われないために、くりや松たけなど、人から盗んだものでないものをとどけるようにしたごんの思いに気づかせます。

第5時:第4・5場面 ~ごんの気持ちの変化~

① 第4・5場面を読む

  • 難しい言葉を確認

② 登場人物の感情を考える(プリント活用)

(1)加助と話をしている兵十の感情

(予想される児童の考え)
疑問(不思議):「不思議なことがあるんだ。」と書いてある。

(2)兵十と加助が話しているのを聞いているごんの感情

興味:「ごんは、二人の後をつけていきました。」と書いてある。
   「二人の話を聞こうと思って、ついていきました。と書いてある。

(3)加助が兵十に「神様がいろんな物をめぐんでくださるんだよ。」と言ったときのごんの感情

落胆(がっかり):「こいつはつまらないな。」と書いてある。

〇ごんは、償いとして、兵十のうちに、くりや松たけを持って行っていました。
償いであれば、例え、神様の仕業だと思われたとしても、兵十が喜んでくれるのならば目的は果たされます。しかし、ごんは自分がやった良いことを神様がやったと思われることが嫌なのです。いつのまにか、「自分がやってあげているんだ。」という気持ち、「自分がやっているのだと知ってもらいたい。」、「感謝してもらいたい。」という気持ちが表れていることを確認します。

第6時:第6場面 ~ごんと兵十、それぞれの思い~

① 第6場面を読む

  • 難しい言葉を確認
  • 第1場面から第5場面までは、ごんの目線から描かれていましたが、第6場面の第2段落以降は兵十の目線から描かれていることを確認します。

② 登場人物の感情を考える(プリント活用)

(1)きつねがうちの中へ入ったのをみた兵十の感情

(予想される児童の考え)
怒り:「うなぎをぬすんだ。」ではなく、「ぬすみやがった。」と書いてある。
   「ごんぎつね」ではなく、「ごんぎつねめ」と書いてある。

(2)いつもくりをくれたのがごんだと気づいた兵十の感情

(予想される児童の考え)
後悔:「火縄じゅうをばたりと取り落としました。」と書いてある。

〇「いつも、くりをくれたのは、おまえだったのか。」という書き方のところを、「おまいだったのか、いつも、くりをくれたのは。」と順番が逆になっています。「お前(ごん)だったのか」という兵十の驚きを強く表現していることを確認します。

(3)目をつぶったまま、うなずいたごんの感情

(予想される児童の考え)
悲しみ:打たれて悲しい
喜び:自分がくりを持ってきていたと知ってもらえて嬉しい

〇悲しみと喜びという両極端の感情について、意見が出ると思います。本文からは、どちらが正しいという判断はできません。「青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました。」という一文が悲しい情景を表していると考えます。では、一番悲しんでいるのは、ごんでしょうか。兵十でしょうか。

③プリント

・一番かわいそうなのは、ごんでしょうか、兵十でしょうか。意見を交換させます。

・最後に、物語の学習を終えての感想を書いてもらいます。

補足:授業の工夫ポイント

  • 感情に焦点を当てた読み取りは、子どもたちの心の育ちにもつながります。「なぜその感情をもったのか」という背景を考えさせましょう。
  • 学習プリントは、ペアやグループで交流することで、多様な読みの視点が生まれます。
  • 「想像」と「事実」の違いに着目させることで、読みの深さが増します。

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