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道徳の授業は、「〜しましょう」「〜はよくない」といった、当たり前の一般論を発表し合う場ではありません。登場人物の行動について「どうすればよかったのか」を考えるだけでなく、その背景にある「どうしてできなかったのか」という気持ちや葛藤に目を向けることが大切だと考えています。
「〜しましょう」と投げかけるのは学級活動の学習です。また、登場人物の心情を丁寧に読み解くのは国語の学習です。道徳では、模範的な行動ができたときの**「気持ちのスッキリ感」**に注目し、率先して行動できるように態度を育てると同時に、さらに一歩踏み込んで、
- 「やった方がいいとわかっているのに、どうしてできないのか」
- 「ダメだとわかっているのに、どうしてやってしまったのか」
といった心の葛藤を子どもたち自身が話し合うことこそが、道徳の学習であると考えます。
この授業展開例が、みなさんの道徳授業づくりの一助になれば幸いです。
題材「およげない りすさん」
(日本文教出版 二年生教材)
指導内容
B・友情、信頼
ねらい
誰かを悲しませて自分たちだけで遊んでも本当に楽しくないこと、そしてみんなと仲よく遊ぶ方が楽しいことに気づき、友だちと仲よくし助け合うための判断力を育てる。
授業の流れ
① 教科書を読む
「およげない りすさん」のお話を読みます。
② 登場人物の気持ちを考える
以下の問いをもとに、登場人物の心情や葛藤について考えます。
- (1)どんな思いから、かめさんたちは「りすさんは、およげないからだめ」と言ったのでしょう?
- (2)島で遊んでいても少しも楽しくないかめさんたちは、どんなことを考えているでしょう?
- (3)りすさんと一緒に島に向かっているみんなは、どんな気持ちでしょう?
- (4)「友だちとみんなで一緒に遊んでよかったな」と思ったことを話しましょう。どんな気持ちからそう思いましたか?
③ 心を揺さぶる場面設定
「みんなと楽しく遊ぶことは、とても素晴らしいことですね。でも、こんな場面ではどう考えますか?こんなとき、あなたならどうしますか?」
(1)見学をした友だち
あなたは休み時間にサッカーをして遊んでいました。すると、体調不良で体育を見学したA君が「まぜて!」と言ってきました。体育を見学した日は、外遊びをしてはいけないという学校のきまりがあります。でも、A君を遊びに入れてあげないのも悪い気がします。
あなたなら、どうしますか?どうしてそのように考えますか?
(2)足の遅い友だち
休み時間に鬼ごっこをすることになりました。そこへ、B子が「私もまぜて」とやってきました。B子は足が遅く、すぐに鬼になってしまいます。B子が鬼になると、他の子はなかなかタッチされず、ゲームが盛り上がらなくなってしまいます。
あなたなら、どうしますか?どうしてそう考えますか?
(3)ルールを守らない友だち
休み時間に鬼ごっこをすることになりました。そこへ、C君が「まぜて」とやってきました。C君は少し乱暴で、ルールを守らないことがあります。
あなたなら、どうしますか?C君にはどんな気持ちで声をかけますか?
④ 結論・振り返り
話し合いを通して、
- 「みんなで遊ぶ楽しさ」
- 「誰かを悲しませないために大切なこと」
- 「ルールや決まりを守る大切さ」
などを振り返り、子どもたち一人ひとりが「これからの生活で大切にしたいこと」を考えます。
最後に、ワークシートやノートに「これから自分が気をつけたいこと」を書き、授業のまとめとします。
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