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~子どもたちの心を動かす“考えたくなる問い”~
日々の道徳の授業で、「子どもたちが本音で語り合える教材がない」と感じたことはありませんか?
そんなときに有効なのが、「モラルジレンマ」を題材にした教材です。
モラルジレンマとは、どちらを選んでも正解とは言い切れないようなジレンマ(板挟み)状況のこと。児童生徒は、正解を探すのではなく、自分の価値観と向き合いながら考え、他者と意見を交わすことで、道徳的な成長につながります。
小中学生向けにすぐに使える「モラルジレンマ教材」を5つご紹介します。それぞれに想定される児童生徒の意見例も掲載しているので、授業準備にお役立てください。
1.落とし物を拾ったらどうする?
対象:小学生~中学生(基礎的な価値判断)
シナリオ:
公園の帰り道に財布を見つけた。中には1,000円と学生証が入っていた。急いで帰らないといけないけれど、どうする?
想定される意見:
- 「すぐに交番に届ける」
- 「学生証から学校に届けた方がいい」
- 「一度持ち帰って後から届ける」
- 「触らずにそのままにしておく」
ねらい: 正直さや責任感、公的機関への信頼といった価値について考える。
2.ウソをついてもいいの?
対象:小学生中学年~中学生(対人関係)
シナリオ:
友だちが自分の絵を見せてきて、「上手に描けたと思うんだけど、どう思う?」と聞いてきた。あなたは正直に言う?
想定される意見:
- 「相手を傷つけたくないから『うまい』って言う」
- 「本当のことを言った方が相手のためになる」
- 「いいところだけを探して褒める」
- 「ウソをつくと信頼を失うから正直に言う」
ねらい: 誠実さ、やさしさ、自己表現のバランスを考える。
3.電車の席をゆずる?ゆずらない?
対象:小学生高学年~中学生(思いやり・葛藤)
シナリオ:
疲れて電車に座っていたら、お年寄りが乗ってきた。でも、今日は自分も体調が悪い。どうする?
想定される意見:
- 「お年寄りにはゆずるのがマナー」
- 「自分の体調も大事だからゆずらない」
- 「近くの人に気づいてもらうように声をかける」
- 「黙っていた方がトラブルにならない」
ねらい: 思いやりと自己保護のバランス、公共の場でのふるまいを考える。
4.いじめを見てしまったら?
対象:小学生高学年~中学生(勇気・集団)
シナリオ:
クラスでいじめを見かけた。先生に言えば、次は自分が標的になるかもしれない。どうする?
想定される意見:
- 「先生や親に知らせる」
- 「そっと本人に声をかけて励ます」
- 「見て見ぬふりはよくない」
- 「怖いから何もできない」
ねらい: 正義感、共感力、集団の中での行動選択について考える。
5.ルールは守る?守らない?
対象:小学生中学年~中学生(ルール・正直さ)
シナリオ:
図書室で借りた本を返すのを忘れていた。友だちは「バレなきゃ平気だよ」と言うが、どうする?
想定される意見:
- 「すぐに謝って返す」
- 「黙って返しておけばいい」
- 「先生に言うと怒られるかもしれない」
- 「友だちに流されるのは良くない」
ねらい: 正直さや責任感、ルールの意義について考える。
◆授業の進め方のヒント
- ペアトーク→グループ共有→全体発表の流れを取ると、安心して発言しやすくなります。
- 「あなたはどう思った?」ではなく、「なぜそう思ったの?」という問いかけを大切に。
- 黙って考える時間(内省タイム)も数分入れると、思考が深まります。
おわりに
モラルジレンマ教材は、子どもたちが「自分だったらどうする?」と真剣に考え、他者との違いを受け入れ合う貴重な機会となります。
1時間で完結する短編教材としてはもちろん、学年や学期の節目に、学級経営と絡めて使うのもおすすめです。
ぜひ、子どもたちの心に残る対話の授業を実現してください。
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