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ついてもいい嘘はあるの? 道徳「金のおの」(日本文教出版)授業展開例

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「嘘をつくことはよくないこと」

これは幼い子どもでも知っている一般的な道徳です。しかし、これまで一度も嘘をついたことのない人はほとんどいないでしょう。
なぜ人は嘘をついてしまうのでしょうか? そして、嘘には“ついてもいい”場合があるのでしょうか?

今回は、広く知られているイソップ童話「金のおの」をもとに、嘘と正直について深く考えていきます。


題材「金のおの」について

  • 指導内容:A項目「正直・誠実」
  • ねらい
     正直な人には「ほめてあげたい」という気持ち、嘘をついた人には「少し懲らしめたくなる」気持ちが自然と湧き上がる体験を通じて、正直の価値を見つめ、善悪を判断する力を育てる。

展開

① 教科書を読む

物語「金のおの」を音読し、登場人物の行動や言動に注目します。

② 登場人物の気持ちを考える

(1)金や銀のおのを「わたしのおのではありません」と言った一人目の木こりは、どんな気持ちでそう言ったのでしょう?
→(例)正直でいたい気持ち、欲を出さないという思い。

(2)おのをわざと池に投げ込み、「金のおのが自分のだ」と答えた二人目の木こりには、どんな考えがあったのでしょう?
→(例)得をしたいという欲、自分もうまくやれると思った気持ち。

(3)神様はなぜ、正直に答えた木こりには3本のおのを与え、嘘をついた木こりには何も与えなかったのでしょう?
→(例)正直に報いる、誠実さの大切さを伝えるため。

(4)これまでに自分が「正直に言えた」経験を思い出してみましょう。そのとき、どんな気持ちになりましたか?
→(例)すっきりした、信頼してもらえた、怖かったけれど伝えられてよかった。


③ 揺さぶり:ついてもいい嘘はある?

教師の発問:
「正直であることは素晴らしいことです。しかし、世の中には“嘘をついたほうがいい”と思える場面もあります。皆さんならどうしますか?」

(1)友達が髪を切った。でも、どうも似合っていないようだ。その友達が「髪を切ったのよ。似合ってる?」と聞いてきた。どう答える?
  • 正直に言う
     理由:(例)本当のことを言う方が信頼される/嘘をつくとあとで気まずくなるかもしれない
  • 嘘をつく
     理由:(例)友達を傷つけたくない/自信を失ってしまうかもしれないから
(2)あまり仲が良いと思っていなかった友達が転校する。その友達が「君が一番の友達だった。君もそうだよね?」と聞いてきた。どうする?
  • 正直に言う
     理由:(例)本当の気持ちを大事にしたい/相手に期待させたくない
  • 嘘をつく
     理由:(例)最後の思い出を壊したくない/気持ちよく送り出したいから
(3)弟(妹)が大切にしていたおもちゃを、うっかり壊してしまった。親に聞かれて「知らない」と答えた。あとで「正直に言おうかな?」と迷っている。あなたならどうする?
  • 正直に言う
     理由:(例)責任をとるのは大事だから/弟に対して後ろめたい気持ちを残したくない
  • 嘘をつく
     理由:(例)弟が泣くかもしれない/叱られるのが怖い

④ まとめ・結論

・嘘は基本的にはよくないこと。だけど、人を思いやるための嘘や、場の雰囲気を壊さないための嘘もある。
・「正直」と「やさしさ」の間で迷うことがある。
・大切なのは「自分がそのとき、どうありたいか」「相手をどう思っているか」を考えること。


教師の補足(※必要に応じて)

  • 嘘には「利己的な嘘」と「利他的な嘘」があるという考え方を紹介してもよいでしょう。
  • 他人を守るための「白い嘘(ホワイト・ライ)」という言葉を取り上げるのも一案です。

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