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『数』というものは人間が作り出した概念にすぎません。大人になると当たり前のように使う数で、数なくして生活が成り立たないと言っても過言ではないでしょう。それでは、人間はどのようにして数の概念を獲得するのでしょうか。
〇学校教育における数の概念の獲得
学校教育では、数の概念の獲得は、個数の多少の比較から行います。
1対1対応させる操作に重点を置き、数えないで比べる方法のよさにふれさせます。

上の画像のように、コアラと傘を線で結び、どちらが多いかを比較するところから始まります。
次に、線を結ぶ直接比較ではなく、ブロックに置き換えるなどの間接比較を学び、それぞれのよさを知った上で、状況や目的に応じて自らが方法を選べるようにしていきます。
数の獲得については、5の集合をはじめに学びます。これは人間の手の指が5本であることに由来して十進位取り記数法ができているからなのでしょう。5の集合の絵に対して、「1、2、3、4、5」と対象を1つずつ丸で囲みながら、数詞を1対1に対応付けながら数えさせていきます。ひとつひとつを指さしながら数えさせ、最後の数詞がその集合の個数を表していることを理解できるようにしていきます。
次時では物の個数を数えて数字を書く活動が設定されています。
<考察>
学校教育では、「数と計算」や「図形」など、領域が多岐にわたる学習の導入の側面も持ち合わせており、直接比較から間接比較への流れは長さや広さの学習展開に繋がったり、簡単な絵や図を用いて個数の多少を比較する学習に繋がったりすることを見越して、このような学習法を扱っているのでしょう。
〇公文式における数の概念の獲得
具体物や抽象物を数えることにより、数を獲得していきます。数えることを重視しているようです。
(公文式のHPから引用)
<考察>
日本語は集合数と順序数の数詞が同じため、混乱が生じるのではないでしょうか。数えることにより、発生した4が4つの集合を表す数なのか、4番目の順序数を表す数なのかを、明確にしてあげる必要があると考えられます。(英語ではfourとforthというように集合数と順序数が異なります)
上のように〇を「1,2,3,4」と数えたときに、
〇が全部で4こあることを指す『4』なのか、左から4つ目の〇を指す『4』なのか、

誤解が生じます。指導する際には、「1、2、3、4。全部で4あります。」と、「全部で」をしっかり強調する必要があります。
我が子で実験
我が子は、数の獲得をかぞえることで獲得していました。被験者A(当時3歳)は、「いち、に、さん、し、ご」と数唱は難なく行えていました。しかし、指の本数を数えさせてみると、以下のように、量と数詞が対応していない現象が見られたのです。

また、被験者B(6歳)は、たし算の計算をする際には「数え足し」を、ひき算の計算をする際には「数え引き」を行うことが多いが、「19と13の違いはいくつでしょう」や「□より4大きい数は17です」といった問題が苦手なことから(文章理解の課題もあるだろうが)、頭の中で数を量で捉えて思考することができていないことが考えられました。
被験者Bの計算している数値は、まだ「十いくつ」の段階だが、数が大きくなると「数え足し」「数え引き」は不可能となる。つまり、筆算の位ごとの計算により、このハードルは超えることができるが、これは機械的な操作に過ぎず、数を理解していると言っていいものかどうかは甚だ疑問です。
このように、数の概念の獲得には数多くのハードルが待ち構えています。どのやり方が正しいということを明確に言うことはできませんが、数の概念をまだ獲得していない子に、数の概念を獲得させる際には上記のことを意識して関わることが重要となるでしょう。
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